やさしい手のひら・中編【完結】
お風呂から上がったらもう一度健太に謝ろう

そう思い私はお風呂に入った

お風呂から上がりリビングへ行くと健太が携帯でしゃべっていた

私が来たのに気付き慌てて携帯を切った

「どうしたの?」

「あっ、祐介から」

「そうなんだ」

「俺も風呂入ってくる」

いつも携帯を置いて行くのに健太は携帯を持ったままお風呂場へ行ってしまった

私は不思議に思い首を傾げた

どうして慌てていたのか気になったけど、それ以上私は何も聞かなかった

次の日、お互い普通に会話をして、自宅を後にした

明日から健太はツアーでいなくなる

だから「今日は早く帰って来る」そう言って短大の前で健太と別れた

私は授業をまじめに受けられず、昨日のことを考えていた

何度もノートに

「どうしよう」

この言葉だけを書いては消してで先生の言葉も耳に入らなかった

「亜美どうした?」

「あ、うん?」

授業が終わって優香が私の所に来て隣に座った

「何かあったの?」

「えっ、何もないよ」

「悩み事があるなら言ってよね」

「うん。ありがと。ほんとに何もないから」

優香にも言えない。誰にも言えない

私は一人で悩んでいた

結局、ろくに授業を聞かないまま一日が終わり私はマンションへ向って歩いていた



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