やさしい手のひら・中編【完結】
「凌ごめん・・・ね」

私は凌に謝ってその場から逃げ出した。このままここにいたら凌に甘えてしまうと思ったから・・・

「亜美!」

凌は私を呼んだけど私は振り向かず必死で走った。涙が目尻から伝って風で流れていく

「ハアハアハア・・・」

苦しい。思いっ切り走ったので喉と心臓が痛い

「どうし・・・て」

どうしていつも私と健太は普通に付き合っていけないの?

どうして邪魔ばかりされるの?

涙がポロポロ地面に落ちて行くのを私は泣きながら見ていた

一人歩く街は寂しく、私を孤独とさせ追い打ちをかける

明日から健太がいないのに、あんな広いマンションで一人になる

ため息混じりに涙が零れる

自分で涙を拭きながら歩いた

一歩一歩、前へ前へと…

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