やさしい手のひら・中編【完結】
由里がなかなか起きなくて忙しい朝となり、昨日のことを由里に言うととても喜んでいた

「私、何着てったらいい?」

「もぉ、時間ないんだから早く準備しなよ」

「亜美、ねぇねぇ、どうしよう。今からドキドキするんだけど」

「いいから、早く準備しなさい」

私は由里の態度が可笑しくって、笑いながら支度をし急いで家を出た。由里とは逆の道なので外で別れ、夕方電話をすることを伝え、私はバスに乗って短大へ向った

ギリギリ短大に入り、優香の隣で授業を受け、昼はいつものように学食へ行き、あっという間に夕方になり私と優香は下校した

優香に手を振って、別れてからすぐ健太から連絡が入った

「俺」

「うん」

「今どこ?」

「歩いて家に帰るとこだよ」

「歩いてんの?」

「うん、健康のため」

「危ねぇから迎えに行く」

「大丈夫だよ。先に家に入ってて」

「今行くからどこ?」

「心配性だね」

「いいから、どこ?」

「まだ短大の横」

「すぐ行くから、そこから動くなよ」

「わかったよ。待ってるから急がなくていいからね」

「わかった」

電話を切り私は健太を待っていた

私を大事にしてくれることはすごく嬉しいけど、仕事が仕事だけに、あまり無理をしてほしくなかった。でもきっとこのことを言っても健太は大丈夫って言うに違いないから、私は黙っていようと思った

健太の高級車が私の前に止まり、窓が開いた

「乗って」

「うん」

私は誰にも見られていないか周りを確認して、健太の車に乗った

「何、警戒してんの?」

「だって誰かに見られたら・・・」

「見られたっていいじゃん」

「良くない。健太芸能人なんだよ」

「芸能人だからって女といたら駄目だなんて決まりないじゃん」

「そうだけど・・・」

「そんなこと気にすんな」

ポンポンと私の頭を撫でたけど、やっぱり気になってしまう。私とのことがばれて週刊誌に書かれたりすることが怖かった

< 35 / 388 >

この作品をシェア

pagetop