やさしい手のひら・中編【完結】
真っ暗い部屋に明かりを灯す

健太もまだ帰って来ていない

鞄から携帯を出すと

「誰?」

知らない番号から2度電話が入っていた

知らない番号なのでそのまま携帯を閉じ、テーブルに置きソファに座った

9時を過ぎても健太は帰って来ない

早く帰るって言ったのに…

一人でいると悪い方へとなんでも考えてしまう

私の悪い癖

佐原樹里に言われた言葉

「邪魔なのよ!」

邪魔という言葉が何度も頭に叩き込まれたかのように思い出す

洗脳されてしまっている頭

『邪魔なのよ!』

頭から離れない

「私、邪魔な…の?」

♪♪♪~

テーブルの上の携帯が音を立てている

先程の知らない番号

「は…い」

「やっと出たわね」

佐原…樹里

「今、健太と一緒だから。フフッ」

「どうして健太と」

ツーツーツー

佐原樹里は私の話を聞かず電話を切った

今度は私から電話をかけたが、電源を切られて繋がることはなかった

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