やさしい手のひら・中編【完結】

「健太・・・」

名前を呼んだのに健太は私を無視して素通りして行った

「ねぇ、健太」

「何」

冷たい目で一度私を見て、すぐに目を逸らされてしまった

健太はﾊﾞｯｸを出し荷物を詰めている。私はその後ろで立ちすくみ、ただ健太の背中を見つめているだけ・・・

私を見ることなく無言で準備をしている

「き、昨日は仕事だったの？」

勇気を出して話し掛けてみた

「そう」

やっぱり冷たい言い方だった

「私、待ってたんだよ・・・」

健太は何も言ってくれない

「健太」

すでに私は堪えられず涙を流していた

「5日間で帰って来る・・・の？」

「いつ帰るかわからない」

そう言って荷物を持って玄関の方へ歩いて行く

「健太待って。ねぇ、どうしたの？何か・・・あったの？」

私は健太の腕を掴み健太の足を止めた

「別に」

「嘘・・だ。なんか・・・あったんでしょ？」

「なんもねーよ」

冷たい目に冷たい言葉

そう言って私の手を振り解いた

「待・・・って・・・」

私の言葉を聞かず、健太は出て行ってしまった

私は力が抜け玄関に座り込んでしまった

何があったのかわかない

健太の急変はなんなのか・・・

「ｳﾜｰﾝ」

私は大声で泣き崩れた