やさしい手のひら・中編【完結】
長く健太といてこれがどういう状況なのか十分わかっていた

だから健太に別れを告げられてもちゃんと受け入れよう

例え私がもがいたとしても健太の意志は強いはず

私の気持ちなんてもう考えてくれないだろう

だから何を言われても怯まないように強い女でいたい

私はこの景色を見ながら、そう考えていた

「健太に会ってちゃんと話したら?」

「うん。でもね、健太の性格ならきっと自分から私の所に来ると思うんだ。自然消滅とか嫌う人だし…」

「お前はそれでいいの?」

言い訳ないよ

でも私にはわかるの…

この先のことが…

「お前の気持ちぶつけろよ」

「うん。ぶつけるよ。でもぶつけてもだめなら…仕方がないって思ってる」

私は遥か向こうに見える東京を眺めながら、そう新くんに答えた

「さっきまであんなに泣いてた奴が別人だな」

「えへへ」

「でもな、泣きたい時は泣いていいんだぞ。我慢なんてすることない」

「うん、ありがと…」

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