やさしい手のひら・中編【完結】
あの東京のどこに健太はいるのかな?

同じ場所にいるのにこんなに健太が遠いよ

どこで私達は狂い出したんだろう

私はぼんやり、波の音を聞きながら海を眺めていた 

♪♪♪~

私の携帯…

ジーンズのポケットに入っている携帯を取り出した

あっ…

私は新くんの顔を見てゆっくりとボタンを押した

「はい」

「話あるから帰って来てくれないか」

は、話…

「マンションにいるの?」

「あぁ」

「もう少ししたら帰る」

「わかった」

ツーツーツー

健太に電話を切られて、私は立ったまま足が震えていた

これから何があるのか私にはわかる

健太の話は・・・

「健太・・から?」

コクンと私は頷き

「わ、私、帰るね」

私は声が震えていた

「健太なんだって?」

私は動揺しているのを気付かれたくないから笑って

「なんか話あるって。いよいよかな」

ギュッ

「無理に笑うなよ。泣きそうな顔してる」

喉の奥が痛くて涙が込み上げてくる

新くんは私を強く抱き締めた

「何かあったら絶対電話すれ。すぐ迎えに行くから」

「・・あり・・がと」

私は新くんの胸で涙を流していた

本当はこれからのことを考えたら怖くて悲しくて…

健太が言おうとしている言葉に怯えていた
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