やさしい手のひら・中編【完結】
車の中で由里が来るのを待っていると、走ってくる由里が見えた

私は車から降り、

「由里、こっち」

由里は私に気付き、走って車まで来た

「乗って」

由里を健太の車の後部座席に乗せた

「健太くん、お久しぶり」

「元気だったか?」

「うん、元気元気。ちょっとこの車すごくない?」

由里も私と同じで周りをキョロキョロと見渡していた

由里が運転をしている健太の後ろに来て、

「健太くん亜美と会えてよかったね」

「俺らってすげぇだろ。あんなとこで会っちゃうんだぞ」

「はいはい、自慢ですか」

2人の会話が可笑しくって、車の中でみんなで笑っていた

「由里、坂下は?」

「怒ってたよ。昨日もいなかったのに今日もいないのかよってね」

「そっか・・・」

「由里ちゃん同棲してるんだって?」

「うん・・・なんかでも疲れちゃった」

由里と祐介くんと坂下はこれからどうなるんだろう・・・

きっと由里の気持ちですべてが変わってしまうのだろう・・・

昔の話をしながら健太の家まで来た

前と同じで地下の駐車場に入り、

「荷物降ろすから、先に行ってて」

「うん」

健太に言われ、私と由里で先に健太の部屋まで来た

私はさっきもらったばかりのカードキーを出し、ロックを解除した

「へーもう鍵もらったんだ」

「さっきもらったの」

「いいなぁ」

「入って」

由里は

「お邪魔しまーす」

と言って中に入った

「うわぁ」

やっぱりここに来ると一番目に入るのはベランダの窓で由里も口を開けたまま、東京の景色を見ていた

「すごーい。毎日この景色を見てるんだね」

「ほんと、うらやましいよね」

「かなり贅沢な暮らしだね」

由里は口を尖らせブツブツ言い、健太の部屋を物珍しそうに見ていた

「どれだけ稼いでるんだか、知りたいもんだね」

「ほんとだね」
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