やさしい手のひら・中編【完結】
私は携帯を開き、ボタンを押した

「亜美か!なんで携帯でないんだよ!」

と、大きな声が私の耳に入って来た

「・・・あ、ごめんね」

「一人?」

「う・・ん」

「大丈夫か?」

「う・・ん」

「今から会える?」

「・・・い、今から?」

時計を見るともう9時を過ぎていた。外はもう真っ暗。夜になっていることすら気付かなかった

「でも・・・」

こんな腫れた瞼をしているのに・・・

「マンションの前で来るまで待ってるからな」

そう言って電話を切ってしまった

もう健太を気にしながら新くんに会うことないんだ・・・

だって私は一人ぽっちだから・・・

私はソファから立ち上がって洗面所に行き、冷たい水で顔を洗った

鏡に映る私は死人のような顔

私の顔は艶もハリもなく、目は腫れ上がり、目の下にはクマができている。こんな私だから健太に嫌われるんだ

バシャッ

私は鏡に水を掛けた

ぼやけて映る私の顔

今の私のすべてみたい・・・

健太がいないとすべての物がぼやけて、鮮明に見えない・・・
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