やさしい手のひら・中編【完結】
「キャッ」

新くんは私を抱き抱え、リビングの電気を消してベットがある部屋まで運んだ

暗い部屋の中で新くんをゆっくり見ると、真剣な眼差しで私を見ていた

そしてそっと私をベットに寝かせて・・・

新くんはTシャツを脱ぎ捨て、ベットに上がり私の真上に重なった。ゆっくり新くんの顔が近づいてくる

手を絡ませながら私と新くんは見つめ合う

「ンッ」

そして新くんは私の唇にキスを落としていった

乱暴なキスではなく、優しいキス

健太と違うキスの仕方

新くんとキスをしているのに健太を思い出してしまう

私の目尻から涙がスッーと首に流れ落ちた

私はなんてことを考えているのだろう

自分から新くんに抱いてって言ったのに・・・

「無理するな」

新くんは起き上がり、私に背中を向けた

「辛いからって好きでもない奴を誘うなよ」

「私・・・」

起き上がろうとした私の両肩を押しベットに戻した

「ゆっくり寝た方がいい」

「新くん・・・」

「健太の代わりでもいいからお前を抱きたいと思った。でもそれは間違ってるだろ」

「・・・」

「他の女に抱いてって言われたら抱くけど、お前は抱けない」

そう言って月明かりがきれいな窓を見ていた

こんな優しい人を傷つけてしまった・・・
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