やさしい手のひら・中編【完結】
「ごめ・・・んな・・・さい」

「お前は悪くないよ」

「ごめん・・・なさい」

大きな手で何度も私の頭を撫でてくれた

投げやりな私を怒っていいのに・・・

新くんは怒らず、優しい顔で私を見ていた

「亜美・・・」

新くんの目を見た

「こんな時に言うのも悪いと思っている。だから今すぐとは言わない」

私は新くんが何を言いたいのかわからず不思議そうな顔で首を傾げた

「俺を男としてちゃんと見て」

「・・・」

「俺の気持ちはずっと変わっていない」

変わっていない・・・ずっと私のこと思ってくれていたんだね・・・

でも今は・・・

「今は返事をすることできない。私の中には健太がいるから・・・」

「わかってる」

「これから自分の中で健太がいなくなったら、ちゃんと新くんのこと考える」

そう私が言うと

「わかった」

そう言ってクシャッと笑った

私はこの笑顔に何度も救われ、助けられた

だから今すぐじゃないけど、この先健太をちゃんと吹っ切った時きちんと返事をしたい

私はそう思った

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