やさしい手のひら・中編【完結】
健太はお風呂から上がり、ビールを飲んでいた。私も飲みたくなり

「ビール飲んでいい?」

「だめ」

「少しだけでいいから」

「半分だけな」

健太は冷蔵庫から、もう1本ビールを取り半分だけグラスに注いでくれた

「ほら、飲んでいいよ」

「1本飲みたかったな」

残りの半分は健太が飲んでしまった

「ツアー始まるね」

「北海道から始まって、それから下の方に下りて来るから、東京には当分帰って来れないかな・・・」

「うん・・そっか」

それを聞いてしまうとすごく寂しかった。何ヶ月も離れる訳じゃないけど、近くにいないというだけで不安になる

「寂しいよな・・・」

「健太も寂しい?」

「すんげぇ、寂しい。連れて行きたいぐらい」

鼻の奥がツーンとしてしまう

「仕事だから仕方ねぇんだよな」

仕方ないのは十分私もわかっているつもりなんだけど・・・

隣に座っている健太が、

「俺を信じて待ってること」

そう言って私の肩に手を回し、キスをした。でもそれが長くって息をするタイミングがなく、私は呼吸が乱れる

「ベット行く?」

私は首だけを縦に振り、健太が私を抱えベットへと連れて行ってくれる
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