やさしい手のひら・中編【完結】
9時過ぎカラオケで別れそれぞれ自宅に戻り、私は家に帰って来た

テレビを付け、気を紛らすため掃除をした

♪♪♪~

掃除機を使っていたので携帯が鳴っていることに気付くのが遅れ、急いで携帯に出た

「はい、もしもし」

急いで出たため、画面を見ることなく携帯に出ていた

「俺ー」

「健太!」

「何してた?」

「掃除してたよ。ずっと携帯鳴らしてた?」

「うん、出ないから焦った」

「ごめん。掃除機の音で気付くの遅れた」

昨日もしゃべったけど、やっぱり顔を見ていないせいか、懐かしく感じてしまった

「今日ね、凌と坂下が来たの」

私は今日あった出来事を健太にすべて話した

「そっか・・由里ちゃん引っ越せるんだ。今日会ってよかったな」

「うん。私もそう思う」

「本郷はなんか言ってた?」

「・・・ずっと私がいる東京にいるって・・・。でもはっきり、戻らないって言った・・・」

「そっか。それでも待ってるっていうなら仕方ないな。好きな気持ちはどうにもならないから」

「・・・うん」

「俺への気持ち変わった?」

「変わらないよ。変わることないから心配しないで」

「離れてるせいか、なんか不安だよな・・」

「嫌な思いさせてごめんね」

「言ってもらった方がいいよ。隠されてたらもっと辛いし」

「ほんとにごめんね」

「もういいよ。亜美が変わらないって言ってくれただけで嬉しいから」

絶対不安に思っている。まして、凌と会ったあとで、凌の言った言葉を聴いたから。私は普段絶対自分から言わないのに

「健太、大好きだからね」

言った後、自分で恥ずかしくなった

「嬉しいよ」

健太はきっと電話の向こうで微笑んでくれているはず

「早く帰りてぇー」

「もう何日も会ってないみたいに感じるね」

「一日でも早く帰れるように俺、マネージャーに言う」

30分ぐらい話、健太もライブの後で疲れていると思い、「また明日ね」と言って電話を切った

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