やさしい手のひら・中編【完結】
「うわー」

中は真っ暗なんだけど、撮影するとこだけがきれいにセットされていて、また驚いていた

「亜美ちゃん、こっち」

新くんに言われ私は、前へ歩いて行った。あまりにも初めてのことが多すぎて、緊張してしまう

「緊張しなくていいよ。俺がリードするから」

そう言われた瞬間、私の腰に手を回した

「えっ、ちょっと」

「亜美ちゃん、きれいだね」

「はあ?」

新くんがしゃべっている間にカメラマンの人は何度もシャッターを押していた

「もう撮ってるの?」

「そう。自然でいんだよ」

新くんが動いてくれて、私は隣でただオドオドしているだけだった

「ほら、おいで」

手を出され、戸惑っていると手を引っ張られ、転びそうになった

危ない!と思ったら、私を支えてくれていた

「意外に落ち着きないんだね」

「ひどい。そっちが急に引っ張るから」

笑っている間も常にシャッターは押され、フラッシュが光っていた

「はい、休憩」

私は半袖のため、バスタオルを田村さんから受け取った

「亜美ちゃん、新くんって不思議でしょ」

「はい。なんか私何もしなくて迷惑掛けたんじゃないかなって・・・」

「新くんって今、すごい売れっ子モデルなの」

「えっー、ほんとですか?」

「モデルの子はみんな新くんと仕事をしたくて仕方がないのよ。それを亜美ちゃんがいきなりするなんて、ラッキーなのよ。これね、内緒だけど新くんからの依頼なの」

最後の言葉だけ小さい声で田村さんは言った

「どうして私なんですか?」

「亜美ちゃんと川崎くんの雑誌を見てね。一緒に仕事したいって言ったらしいわよ」

「私、何も魅力なんてないのに・・・」

「だから自信を持って」

「はい・・・」

そんな昔の写真見られても、あれは高校の時の写真だし。新くんの考えがわからなかった

何度も衣装を変えて、いろいろなセットで写真を撮る。この繰り替えしだった
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