With a smile
結局建都さんの事が気になったままデスクに戻った。

『はぁ・・・』

私の大きなため息に、カイさんの小さなため息が重なった。

珍しいな、と思った。

カイさんの仕事ぶりは一言で言ってすごくクールだ。

誰に対してもイエス・ノーがはっきりしていて、いつも自信も余裕もいっぱいに見える。

今みたいに感情を表すことはまず無い。

普段はほとんどパソコンの前にいるか電話をしていて、たまにお客さんの所に行くと必ず何らかの契約を交わしてくる。

時間を無駄にしない、効率の良いやり方だ。

しかし、契約といっても、下請けのような小さい物で、本来の目的である別荘そのものはまだ1軒も売れていない。

はっきり言ってしまうとパッとしない。

現状、カイさんの思い描く成功ではないだろう。

そのため息。



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