With a smile
「気がすすまないんですね?」

返事は無かった。

「嫌ならご主人にそうおっしゃったらどうですか?」

奥さんはびっくりした様に私を見た。

再びゆっくりと海の方に顔を戻すと、小さくため息を吐いた。

「主人のお金で買うんですもの、私が言う権利はないわ」

「そんな事無いですよ。奥様やユージくんの為の物じゃないですか」

「違うわ。あの人と愛人の為よ。その為に海外の別荘が欲しいのよ。私達が行く事は無いわっ」

海に吐き捨てた。

そして大きなため息をつき、ヤケクソ気味に言った。

「私も愛人作ろうかしら。で、別荘行くの。いいかも。フフッ」

「ダメですっっ」

ちっとも笑っていない奥さんに思わず大声で言っていた。

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