With a smile
「それに・・・」

なに?それに何?

「これは関係ないけど、社長と奥さんは正式に離婚した。だから堂々とオレの事日本に呼んだんだ」

「そうですか」

完全に動揺していた。

建都さんとカイさんが兄弟って事、建都さんは知ってるの?

離婚・・・、建都さんの成績が落ちてるのってそのせい?

「なんて顔してんだ、よくある話だ。お子ちゃまにはちょっと難しいかぁ?」

いつもの様に鼻で笑ったカイさんの横顔からは、そんな複雑な生い立ちは微塵も感じられなかった。

親の生き方に振り回されているのは、いつも子供だ。

すっかり大人になっても、それはついて回る。

ハーフで父親がいなくて、それは日本ほどではないにしても、生きにくかっただろう。

もし私だったら、建都さんみたいに笑えてただろうか、カイさんみたいに仕事が出来ただろうか。


「英語ってどうやって覚えたらいいですか?」

振り払うように、出来るだけ明るい声で聞いた。


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