With a smile
仕事はカイさんの言った通りに急激に忙しくなっていった。

あの３件の契約を機に、本当に今が不況なのかと思うくらい、うそみたいに別荘は売れた。

同時に、社内の風向きが一気に変わった。

前は女子社員から興味本位でカイさんの事を聞かれたが、今は男子社員から聞かれる事が多い。

カイさんの下で働きたい、アメリカに帰る時に一緒についていきたい、そう口にする人も１人じゃ２人じゃなかった。

海外進出に否定的だった重役達も入れ替わり立ち代わりデスクまで来ては、調子のいい言葉を並べ、最後には「さすがＤＮＡだな」と言い残した。

そんな周りの変化にも、カイさんは興味が無いといった感じで今まで通りのクールな仕事を続けている。

ただ少し変わったといえば、あの日から私をマッキーと呼ぶようになった事と、意見を求められるようになった事だ。

意見といってもただ思った事をそのまま言うだけで、多分役には立っていないけどちゃんと聞いてもらえる事は嬉しかった。


< 122 / 176 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop