With a smile

「あ、新入社員さん？」

高島さんとしばらくしゃべって、私の方へ顔を向けた。

うわぁ、私の事見てる・・・。

笑ってない顔ってこんな風なんだ。

つり目気味の奥二重の目は一見シャープで鋭いけれど、まん丸な大きな瞳が柔らかい雰囲気を出し、少し厚めの唇は口角が上がっていて微笑んでいるように見える。

少しだけ童顔の、普通にかっこいい顔。

私とは真逆な顔、いいなぁ。

「そうだよ、ウチに入ったの。ほのかちゃん」

固まった私に高島さんが言ってくれた。

「はじめまして、五十嵐建都です」

あの人は、丁寧にお辞儀をした。

名前、五十嵐建都っていうんだ、あの人の名前。

「ま、真木です」

私はイスから立ち上がって上ずった声で何とか名前を言った。

「真木さん・・・？」

「はいっ、真木ほのかです」

なんだろう？今一瞬だけあの人の目の奥が曇ったような・・・気のせい？

変な事なんにも言ってないよね？