With a smile
それから3人で楽しい会話が続いた。

私はあいずちを打ったり、聞き役が多かったけれど、楽しくてしょうがなかった。

あの人が、建都さんが目の前にいて、私に話し掛けてくれて笑ってくれて。

とにかく明るい人で、次々といろんな事を楽しそうに話し、その声は営業部らしい大きさだった。

建都さんが、ほのかちゃんと私を呼ぶたびに、嫌いだった自分の名前が少しずつ嫌いじゃなくなっていく。

耳の奥に届く声は私を甘い気分にさせた。

2年前に失ったはずの恋心が、じりじりと音を立てて再生し始める。

それは、1秒ごとにどんどん広がり、あっという間に2年前よりもずっと大きくなった。

彼女いるのかな?

途中からそればっかり考えていた。

あの時隣にいた人はもういないんだよね?

2年も経っているからあの涙はもう忘れてるよね?

そんな勝手な期待と希望だけが胸を膨らませた。


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