With a smile
「もう知ってるかも知れないけど、建都くんって社長の息子なんだよね」

え?

「じゃあ、次の社長ってことですか?」

「まあ、それは何十年も先だけど、そうなるね」

五十嵐って・・・、そうか、なんでさっき気付かなかったんだろう。

話をして、ほのかちゃんって呼んでくれて、芸能人みたいに遠くて別世界だった建都さんが、近づいて同じ世界になった気がした。

だけど、一気に、今までとはまた違う遠さを感じる。

「でも気にしなくていいから、気にしてたら仕事にならないし。建都くんはああいう人だから。おぼっちゃんって感じじゃないでしょ?」

「はい」

確かにそうだけど、気にはなる。

「社内にはあからさまにそういう扱いする人もいるけど、ここにいる人はみんなそんな風に見てないから、ほのかちゃんもそうして欲しいな」

「分かりました」

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