With a smile
「これ、キツイなー」

上まで続く上り坂を見上げて建都さんが苦笑いした。

ここから車まで戻るのは結構大変そう。

「はい」

建都さんが手を差し出した。

その手に私の手をそっと載せる。

いいんだよね?

優しく握った手から、ありがとうが伝わる。

手を引かれながら、一歩ずつ坂道を登っていく。

さっきは夢中だったけど、私から手握っちゃったんだ、今更ながら恥ずかしい。

でも今は恥ずかしいより、嬉しい。

少し砂の付いた大きな手。

ずっと握っていたい、離したくない。


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