With a smile
「はい、五十嵐建設です」

はきはきとした声で電話を取る。

私はなんだかすっきりしていた。

もちろん建都さんとの進展があったわけではないが、近づいた、それだけで十分だった。

内容よりも誰にも話した事が無いと言った事、手をつないだ事、それが今の私の大きなパワー。

影響受け過ぎだよなー、建都さん事で喜んだり落ち込んだり、仕事にも生活にもモロに。

もう二十歳なのに、今までだって普通に恋愛してきたはずなのに。

おかしいよ。

行くなんて決まってないのに雑誌でスィーツのお店調べたり、興味の無かった車の事気にしたりして。

今だって建都さんの姿をこっそり目で追ってる。

営業部はプロジェクトも落ち着いたようで、最近は会社でちょくちょく見掛ける様になった。

今日のシャツ水色だ、青色が好きなのかな?車も青だし、そんな事ばっかり考えている自分に、中学生かっ、自分で突っ込む。


< 88 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop