With a smile

同じフロアーの端に向かい合わせの机が２つ、その上にはパソコンに電話。

机を囲むようにパーテーションで仕切られている。

カイさんはパソコンの電源を入れると、立ち上がるまでの時間さえ惜しいという様に、書類に目を通し始めた。

何を？私は何を？

なんで私が？

あっと言う間のこの展開にやっと追いついて、頭が回り始める。

「あの、私は何をすればいいんですか？だいたい何で私なんですか？」

カイさんは一瞬こっちを見て、すぐにまた書類へと視線を落とした。

無視かいっ？

「私、別荘の事なんて全然分からないし、それにまだ新人で満足に仕事も出来ないし・・・」

「だからだろ？」

立ち上がったパソコンを使いながら低い声で言った。

「お前が抜けても支障がないから出したんだ。元々、海外進出に反対の声も多いから大事な戦力はオレには提供してもらえない」

そうなんだ、・・・ってなんかすごい失礼じゃない？

事実だけど、だけど・・・。