With a smile
「嫌なら何もしなくていい。だが、オレは必ず成功させるから、ちゃんとついてこれるならこの先にはすごいものが見れるぞ。
お前がまだ見た事の無い景色が」

視線は真っ直ぐに私に向かっていた。

「はい」

思わずそう言ってしまった。

あまりにも力強くて、ブルーの目が濃く輝いていたから。

何の事か分からないけれど、信じさせる何かがあった。

自信は無いけれど、一瞬ワクワクさせる何かがあった。

カイさんは本気なんだ。

社内の逆風に立ち向かって、そして成功させるって本気で挑んでいる。

一生懸命仕事に取り組む人は信用できる、最近分かってきた事だ。

私に何が出来るか分からないけれど、ついていこう。

一ヶ月間頑張ってみよう、ピンチはチャンスに変えれるってさっき言ってたし。

とりあえず別荘の資料集めて勉強しなきゃ。

手始めにお客様用のパンフレットを開くと、向かいから笑いを含んだ声が聞こえた。

「単純だな、お前」

「なっ・・・」

「ああ、頑張り屋さん、だったっけ?」

は?はぁぁぁ?

絶対バカにされてる。


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