ユールクラップの愛
3年前の夏、私はあのカフェに居た。
受験で息詰まり、ムシャクシャしていて。
何もかもを捨ててしまいたいとさえ思っていたほど、悩んでいた時期があった。
そんなときに出会ったのが、デビュー前の雪都だったんだ。
『いらっしゃい、ハルちゃん』
『いつもの、頂戴』
『はいはい』
『あれ飲まないと、落ち着かないの』
通い詰めているとマスターとは顔見知りとなり、いろいろな相談もするようになっていた。
マスターの作るハニーミルクラテはとても美味しくて。
あの頃は、毎日のように通っていた。
私が通い詰めている時期のいつ頃だったか忘れたけれど、カウンターに座る私の一つ席を空けた隣に座る男の人がいた。
ブラックコーヒーにサンドイッチを絶対に頼む、彼。
話しかけられるようなことはなかったものの、毎日のように顔を合わせていれば気になってくるもの。