ユールクラップの愛
「雪都にね、アナウンサーが『このシングルリリースして、彼女さんと付き合うってことになったりして、もし批判が多かったりしたらどうなさるんですか?』って。馬鹿なアナウンサーだよね。あたしたちクラスタがそんなことするはずないのに」
「けど雪都は言い放ったんだよ、仲間たちの前で。『肩書きなんていつでも捨てれますよ』『彼女と出会ったから俺は今ここに在れているんですから』って」
本当、これだけ想われてる彼女も凄いよね。
どこの誰なんだろうと有希子は言う。
…ああ、もう。
本当に自分が恨めしい。
なんでこんなに嫉妬が渦巻くの。
なんでこんなに、存在自体分からない彼女にやきもちを焼いているの。
筋違いもいいとこだわ。
「SNS上でさ。批判とかいろいろ出るかなって私も思ってたんだけど、『すごい!』『もう私一生雪都のファンだから!』って声ばっかり。まあ、アイドルじゃないしね」
「…そうなんだ」
「雪都が好きな春陽には結構残酷だよね」
「…雪都が好きなんじゃないから。雪都の音楽が好きなの」
「はいはい」
THE ACEのみんなも、会ったことがあるのだろうか。
少し気になるけれども、私は有希子との次の話に移った。