ユールクラップの愛
有希子いわく、これもライブではなく、リリースイベントの一環・ファンクラブ会員限定のイベントで、『マスカレードパーティー』なんだそうだ。
チケットも2人ペアだったそうで、私を誘ったんだとかなんだとか。
そんなこんなで受付を済ませ、その場で仮面を貰い、付ける。
隣を見れば、有希子も様になっている。
「ははっ、春陽似合ってる!」
「有希子の方が」
「席は…あ、結構いい席じゃん!」
アリーナではないけれども、ほどほどにいい席で私たちは座る。
周りは誰が誰だかわからない。
それならば、私も周りの目を気にせず騒げる。
ああ、素敵な企画だ。
一体誰が計画したんだろう。
そんなことを思っていると始まった。
<Lady’s and Gentleman!>
発音のいい端正な英語が流れる。
<会場のみなさん、こんにちは!>
<THE ACEシークレットイベントへようこそ!>
そんな声とともに、ファンのみんなは『キャー!』と奇声を上げる。
それと同時に軽快なリズムが流れてくる。
<THE ACE主催マスカレードパーティー、開幕!>
そう言うと、どこからか、メンバー4人が出て来た。
ああ、もう。
こんなときでも、私は貴方しか見えない。
―――雪都。