ユールクラップの愛
<タイトルは…『Dear.Spring』>
最愛なる、春?
タイトルからは、わからない。
何でそうなったんだろうか。
<何で春なんだろうね?>
<夏でも秋でも冬でも良かったんじゃないの、なんて事務所では話題騒然になったんだよね!>
<そうそう。さあ、この会場内で“春”が付く人!>
そんなフリがあって、隣からは『いいなあ、春陽!』と有希子が言う。
春…まさかね。
そんな自意識過剰なことは思わない。
そう思っていた。
けれど。
<ずっと、ずっと探していた>
「…っ」
<あの日からずっと>
今まで一言も喋らなかった雪都が、マイクを持ち話す。
そして、ドキッとした。
だって、―――見てるから。
私を射抜くように。
まるで私がここに居ることを知っていたかのように。
そんなわけ、ないのに。
勘違いもほどほどにしないと。
でも、