ユールクラップの愛
クリスマスまで5日
わかっていてあんな態度を取った私はかなりの兵【つわもの】なんだろうか。
けれども、見ず知らずだ。
恐れ多くも彼と話したことはない。
お姉ちゃんが雪都と関係があったってことも初耳だし、それより以前にああいう礼儀のない人だとは思わなかったさ。
「ああ、もう。だから嫌なんだよね」
芸能人なんてのは。
やはり理想と現実は違う。
芸能人の方には本当に申し訳ないが、芸能人に私たち一般人は夢を求めてる。
だから勝手に妄想で作り上げた理想像で固めているからこそ、こうして落胆する。
こちらが悪いということは目に見えて分かっているし、私自身も身勝手すぎると思ってはいる。
そう、思っては。
だが夢を売るのが彼らの務めじゃないのかとも思ってしまう。
なのに、それをみすみす崩されるのはあまりいい気がしない。
ああ、もう。
「行かなきゃよかったな…」
そう思ったのは言うまでもない。
…のに。