僕等の初恋
夏休みの補習を受け、
僕はもちろん、生徒全員が
帰ろうとしているそんな時。
いつもなら
『上総おっせーぞっ!』
とか言って
“いつ帰りの支度したんだ?”
というくらいなはずなのに…。
今日はむしろ
“いつ帰りの支度するんだ?”
と言わんばかりの状況。
「まあ、落ち着けって」
一度息を吐き、
そわそわしている亮に注目した。
その亮も深呼吸をして
ニッと口の端を上げた。
教室には僕と亮だけ。
さっきまでの
にぎやかな雰囲気は何処へやら。
「んふ、ふふふふふふーっ!
上総ぁ、今から暇だよな、なっ、なっ?」
いや、前言撤回。
亮一人だけでもにぎやかだ。
そう言いながら、
背中をバシバシ叩いてくる。
「痛い…。
叩くなら暇でも、暇じゃないって言うぞ」