僕等の初恋
「わ~っ! 悪かったって」
顔の前で手を合わせ、何
だか可愛く謝ってくる。
というか、
ニヤついている? のか…。
「はあぁ~。
…ま、いいけど。何?」
溜め息をついて、
真面目に聞いた僕の手を、
亮はグイグイと引っ張っていく。
「よしっ! じゃあ行くか」
そう言ったかと思うと、
ペースを速め、
誰もいない教室を出た。
「どっ、何処にだよっ!?」
「秘密ー♪」
亮は楽しそうに、
スキップしながら階段を下りていく。
絶対僕の存在を
忘れているだろう。
スキップのおかげ
…というよりスキップのせいで、
何度も階段から落ちそうになった。