僕等の初恋
「ちがっ、はめられただけだって!」
「ふ~ん」
「信じろよっ」
早苗は思い切り聞き流していた。
「早苗こそ、何やってんのさー?
みんなもう帰ってるけど」
亮はプールと早苗を
交互にチラ見を繰り返し聞いた。
その疑問は僕も抱いていた。
僕等はともかく、
早苗は一応女だし
プールの近くに何かある
というわけでもないだろう。
「んー、教えてあげるよ」
「何何何さ。
今日は優しいぞ、早苗♪」
「“いつも”優しいんだけどっ!?
はあ。まあ、ついて来い」
早苗は僕と亮の手を
『これでもか』
と言わんばかりの力で腕を握られ、
『してやったり』
と言わんばかりの笑みを浮かべていた。