僕等の初恋



「あの…山本さん。
先生に言われたプリント、
持ってきました」



この場の空気を知ってか知らずか、
体操服姿の女の子が
水着姿の女の子達の間から
ひょこっと顔を出した。
今時珍しいシャツイン! で、
栗色の肩までの髪の毛、
小さくて、色白で…

可愛い。



「美癒ちゃん、ありがとー♪
もう本当に可愛いんだからぁ~」



何故か近所のおばさん口調の早苗。

でも、俺にはそんな事よりも
“美癒”と呼ばれたその子が
気になって仕方なかった。



「なあ、亮。
この子誰だ?」

「何…、珍しい」



亮は少しの間女子から目を離し、
珍しい僕の言動に
ポカンと口を開けていた。



「いーから言えよっ」



< 8 / 14 >

この作品をシェア

pagetop