勘違いをしませう
ああ、私の指に、まとわりつく、それの内蔵物。

先ほどわずかに触れたしこりを探り当てる指が、爪が、すでにざらついたなにかで、脂っぽくなっていた。

そうして、ようやくもやっと、私は先ほどの小さな手応えを、二本の指に挟んで、引き抜いた。

真空へ空気が入り込むような、間の抜けた音が、小さく鳴る。

すでに、もう白いそれの外形は、円や球とは言えないほど、瓦解してしまっている。

内部をいたずらに掻き乱され、内蔵物の一粒を引き抜かれた、あわれな、それ。

柔肌に穿たれた無惨な穴から覗く、恨みがましい粘りけのある黒。

ああ、めちゃくちゃにしてしまった。やってしまった。私はこの無防備なものを、指だけで蹂躙してしまった。ああ、やってしまった。

小さな罪悪感は、言い知れない破壊の後味に、飲み込まれた。

私は、ひとつの物体を、凌辱してやったのだ。

外から中から、それはもう、こね繰り返してやったのだ。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop