サイコロ【短編】
「てめぇ、大人ナメんなよ。
痛い目にあわすぞ、コノヤロー。」



「おじさんはさぁ、
痛い目にあった事ある?」



だめだ、
こいつ、やっぱり
ちょっと、おかしいのか?
全然会話が噛み合わねぇ。
取り敢えず、
こんなクソガキに構ってる、
余裕なんて俺には
もう、ねぇんだよ。



俺は立ち上がると、
黙ってその場から
立ち去ろうとした。









ん?








「おい、いい加減にしろよ。
なんで、服引っ張ってんだよ。
おいって!」



ガキは片方の手で俺の
よれたTシャツの裾を引っ張り、
もう片方の手では
胸の辺りを押さえていた。



「おい、おいって、
おい?お前まだ、悪ふざけーーー」



今度はどうやら、
本当のようだった。
クソガキの顔が
この世の者とは思えないほど、








白くなっていた。






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