Murder a sponsor.
「ぐっ……」


 そうだった。教室は悲惨なことになっちまっているんだった。

 この中から鋏や尖った鉛筆を探し出すのは無理かもしれない……。

 瓦礫を退かしたりするのに時間がかかるだろうし、仮に探し出すにしても大きな時間ロスになってしまう。


「別にこの教室じゃなくてもいいのではないですか?」

「あっ、そうかっ!」

「クラス委員長の身としては、本当はこんなことをしたくはありませんが……。ここ以外の教室から拝借するしかないと思います……」

「新名。それ、泥棒にならないの?」


 素早くそう突っ込んだ熊沢に、新名はぶんぶんと首を横に振った。


「どっ、どどどっ、泥棒だなんて、とんでもない……!ほんの少しの間、借りるだけです!あとで元の場所に戻せばいいんですよっ!ねっ、ねぇ?北條くん」

「……そうだな。こんな事態だし、やむを得ない」


 そうと決まった以上、俺達はさっそく隣の教室へと向かった。

 宮城先生だったモノには目を向けないよう、気を配りながら。

 廊下に出て1つ疑問に思ったのは、やっぱり校内があまりにも静かすぎるといったところだろうか。

 あんなに派手な爆発があったのにも関わらず、だれ1人として様子を見に来ない。

 こんなことになってしまった原因でもある放送が流れて、まだそんなに時間は経っていないというのに、まるで全員が忽然と姿を消したかのような静けさ。

 嫌な予感だけが胸の中をザワザワとうごめきまわる。
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