Murder a sponsor.
 今までの平和な日々が壊れてしまったのは……平和の崩壊の始まりは、本当に突然だった。

 それは、授業中に流れた、1つの校内放送だった――。


「今からゲームを始めるよ~★」


 男なのか女なのか分からないように加工されている声の主が、校内すべてに向けて放送を開始した。

 授業中だったため、生徒も教師もその他の人も、みんながみんな、手をとめて放送を聴いている。


「今から始めるのは~~……主催者殺人ゲエェェェム!校内にいる、ゲームの主催者であるボクを殺すだけ★ねっ?簡単でしょでしょ?」


 その瞬間、学校中のみんなが凍り付いたように固まった。俺も固まっていた。

 ――何を言っているんだ?この放送の主は。今から始めるっていうこのゲームの主催者を殺す?つまり、今は話している放送の主を殺す?本当に何を言っているんだ?

 ありえないゲーム内容に、思考がついていかない。きっとみんなも同じだろう。


「校内から出ようとしたりィ~、校外の人と連絡をとろうとしたらァ~、即失格ーっ!死んでもらいまーす!」


 異常さに気付き始めたのか、教室がザワザワとうるさくなっていく。

 教師は困ったように顔を歪めた後、「イタズラする奴はだれだ?放送室に注意しに行ってくるよ」と、教室を後にした。


「あっ、そーそー。ボクが始めっていうまではゲーム開始じゃないからねぇ?何か質問があるなら受け付けるよ~?」

「……あほらしい」


 俺はぽつりと呟き、机の上で突っ伏した。
< 2 / 87 >

この作品をシェア

pagetop