Murder a sponsor.
「まぁまぁ!今は争っている場合じゃないですって!」

「……お前は?」

「へっ?」

「お前は、何をしていた?熊沢と一緒に琴音に教室の安全を確かめさせたのか?それとも、琴音と一緒に教室の安全を確かめていたのか?」

「ぼっ、僕は……」


 ……争いや、自分の身に危険が起こるかもしれないことは避けていく新名のことだ。

 熊沢と一緒になっていたわけでもなければ、熊沢を引き止めることもなく、ただ、傍観していたのだろう。

 もしかしたら死んでしまうかもしれない状況なのに、その状況を、ただ、傍観していたのだろう。

 そう考えると、頭にカッと血がのぼる。一発、殴ってやろうかとも考えた。しかし……。


「真人くん!私は大丈夫だから!」


 琴音の声で、ハッと我に返る。


「私は大丈夫だから!でも、もしかしたら見落としがあるかもしれないから、本当にちゃんと安全だっていう確証は……ないの。ごめん、なさい……」


 悲しそうな顔をする琴音に、俺は静かに首を横に振る。


「怖いだろうに……お前はよくやった。ありがとう。そして、死ななくて、本当に……よかった……」


 やべ。泣きそうになっちまって、少し声が震えた。情けねぇな……。
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