Murder a sponsor.
「あの、北條くん。すみません……ちゃんと僕が引き止めていれば……」

「私も……ごめん」


 そんな情けない俺の声を聴いた新名と熊沢は、申し訳なさそうに謝ってきた。


「いや、俺も悪かった。こんなことになっちまって、気が立っているんだろうな。……その、国語準備室に、行ってみようか」


 ……でも、いくら謝ってもらったとはいえ、やっぱり琴音と熊沢を一緒にしたくはないな……。

 そんなことを考えながら、俺達は近くの国語準備室の前へと移動した。

 おそらく、この中で1番怖いのは琴音なのに、それでも教室の安全を確かめてくれたのは、本当によくやったと思う。

 だけど、琴音自身が言うように、絶対に見落としがない、ちゃんと安全だって言い切れないのは確か。

 そうだな……。いっそのこと、全員で確かめてみるか?それとも、みんなを……特に琴音を守るためにも、俺1人だけで確かめてみるか?

 どうしようかと考えていると、舞さんはスッと俺の横を通り過ぎ、国語準備室の中に足を踏み入れた。


「舞さん?!」


 舞さんは無言のまま、国語準備室の中を歩いて回りながら、30cmの定規で壁や床、家具を叩いていく。

 一通りしたあと、舞さんは俺達の方を向いた。


「大丈夫よ。中は安全だわ」

「え……」

「確認してみたけど、危険な気配は感じられなかった。だから、中は安全よ」


 今ので安全かどうかが分かったのか……?

 でも、舞さんがそう言うのなら、本当に安全な気がしてくるから不思議だ。
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