Murder a sponsor.
「……ただし、表向きには、だけど」

「と、いうと?」

「窓や机の引き出しを開けることで発動するようなトラップなら、仕掛けられているかもしれないっていうことよ」


 だから、表向きには、か。

 普通に出入りしたり、居座る分なら問題のない部屋だが、細かいところにトラップが仕掛けられている可能性は……十分、ある。


「それじゃあ、危険じゃないの!」


 熊沢が不安と恐怖が入り混じったような口調で言うと、舞さんは小さく首を横に振った。


「私達が部屋の中にあるものに触らなければ、問題のない話よ」

「でもっ」

「それとも、あなたが他の安全そうな部屋を探してくれるのかしら?扉を開けた途端に、トラップが発動する可能性だって有り得るのよ?」


 熊沢の言い分も分かるが、舞さんの言い分も分かる。

 存在するのなら、少しでも安全な部屋を選びたい。けれど、それを探し当てるまでに、どれくらいの被害が及ぶのかは分からない。

 それなら、自分たちが最低限の注意を払っていれば安全な国語準備室に居座る方が、いいのかもしれない。


「熊沢の言い分も分かるけど、俺は舞さんの意見に賛成だ。変に歩き回れば、その分、被害も出るだろうし」

「……はぁ。分かったわよ。じゃあ、そうするわ」


 渋々といった感じながらも、熊沢は同意してくれた。
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