Murder a sponsor.
「……ここでいつまでもくよくよしているわけには……いかないからな。ここの引き出しから自分用の包丁と、パンを持てる分だけ持っていってくれ」

「そういえば、北條くん。水分はどうします?」


 食べ物がないかを探していた際、舞さんは冷蔵庫を開けて調味料類しか入っていないことを確認したと、先程みんなに言っていた。

 つまり、給食室には飲み物らしい飲み物がない。


「そうだな……。トイレや手洗い場なんかの水を飲むしか、ないだろうな」


 手洗い場はまだしも、トイレの水を飲むのはあまり気が進まないが、仮にそこしか水がでないのだとしたら……生きるためにも、腹をくくるしかないだろう。


「本気で言ってんの?」


 熊沢はあからさまに嫌そうな表情を浮かべた。まぁ、普通はそんな反応をするよな……。特に女子は嫌がりそうだ。


「仕方ないだろ」

「だって、トイレの水とか、汚いじゃないの!」

「気持ちは分かるが……他に飲み物がないのなら、それしかない」

「……」


 熊沢は黙り込んだが、あからさまな嫌そうな表情は変わっていない。

 これは……納得はしていないだろうなぁ。納得しろとは言える立場ではないし、この状況を認めざる得ない……よな。
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