Colors of Heart ～7色のハート～

「あれ？虎っぽってここのロケ班のアシスタントだっけ？」

　
製作会社で雑用バイトをしている虎っぽとテレビ局のスタジオで一緒になることは何度かあったけれど、ロケ先にいるなんて意外だった。

　
「たまたま移動中に寄ってもらったんだ。いやぁ、迫真の演技だったなぁ・・・化けるもんだなぁ・・・普段はへらへらしてんのに」

　
誉め言葉なのかそれともけなしてるのか、虎っぽはさっきの俺が刺されるシーンを再現して、ぱたりとイチョウの葉で覆われた地面に倒れた。

　
「ちょっと、バカにしてない？」

　
俺がぷぅっと頬を膨らませて、虎っぽを見ると、虎っぽは「いやいや、respectだって。正直、主役の奴、食ってたし」と再び隣に座る。

　

「結局、主役にはなれないけどね」

　
そう言って自虐的に笑う。


今回の映画の主役は桐谷黄介。


「ever green」というアイドルグループの一員だ。


ヒロインは今回が映画デビューの新人。


インパクトが残るようにと主要人物の役名はそのまま名前を使うっていう設定だった（下の名前はカタカナ表記だったけど）。


俺は、その2人の親友役、しかも、最後は刺されて死んじゃうし。

　
「その語の物語はどうなるんだよ？」


「結局、公園内に警察が来て、山吹は捕まる。俺が命を落としたことによって、チームの抗争は幕を閉じ、オウスケとユズキは俺を忘れないと心に誓って、また日常に戻って行く＿＿＿＿よくある展開の青春映画だよ」