Colors of Heart ~7色のハート~
まぁ落ち着いて、カフェオレでも飲んでと、サンゴは外のテーブルに置いていたマグカップを、再び俺に手渡した。
「金ちゃんもあれで責任感じて、自分の仕事もあるのに、花の代わりにカフェで働くって言ってるんだから」
花はこの家から歩いて15分程の公園通りにあるカフェでアルバイトをしていた。
金次はそこのオーナーの甥っ子で、元々はそこでバイトをしていた。
それが俺たちが知り合うきっかけになったのだけれど。
最近は役者としての仕事が増え、顔が知られるようになったので、事実上はカフェのバイトは辞めているが、今日のような緊急時とか、どうしても人手が足りない時とかは、変装をして働いているのだ。
あいつが悪いんじゃないって頭は解ってる。
すっかり冷めてしまったカフェオレを口に含む。
でも、イライラが収まらない。
「sh●t!」舌打ち混じりに呟き、壁を蹴飛ばす。
「物に当たらないの!」
サンゴが母親のように諭す。
俺はバツが悪くなり、口を噤んだまま、足音を立てて階段を上って、部屋に戻った。