Colors of Heart ~7色のハート~
結局、1人でシドニーに降り立った。タクシーを拾い、実家へと向かう。
出発前に「Room1」の扉を叩いてみたけれど、花の返事はなかった。
サンゴに花の看病を頼み、熱が下がったら、せめてRomiに電話を掛けてくれないかと電話番号を書いて渡した。
Romiも花が来るのを楽しみにしてたのだ。
「解ったわ。花のことは私に任せて。ロミ(愛犬のパグ)のお世話もね。結婚パーティー楽しんできてね。あ、葵ちゃんにくれぐれもよろしく言っといてね」
サンゴからお土産と言付を受け、家を後にした。
I wanted nothing but to hear your voice.
車に乗り込んだ所で、ふと頭を過った言葉にイラつき、頭を掻きむしった。
2人の結婚パーティーは2日後に行われる。Romiの希望で、パーティーは客船を改造したボートレストランを貸し切って行われることになった。
そこで、食事をしながらみんなでダンスを踊ったり、歌を唄ったりするのだそうだ。
みんなで盛り上がるのが好きなRomiらしい賑やかなパーティーになるだろう。
白鷹とRomiはすでに入籍を済ませ、2人で実家の近くに部屋を借りていた。
ここ連日2人は、それぞれが同性の友達と集まり、独身の夜を謳歌する儀式「スタッグ&ヘンズナイト」で、呑んだくれているはずだった。