Colors of Heart ~7色のハート~
「その予定だったんだけど、日本みたいな畏まった式じゃないのに、新郎新婦以上に張り切っちゃってさ、昨日はなかなか眠れなかったらしい。寝坊したって朝から大騒ぎだよ。見かねて俺が、朱羽子さんの所に先に行くって言ったんだ」
父親は準備が出来次第、駆けつけるとのことだった。
俺が先に品物を受け取って、新郎新婦の滞在するホテルに向かう。
母親は一足先に葵をピックアップして、パーティー会場に向かっていた。
「仕事ではキレる人なのに、ちょっと抜けている所があるのよね。憎めない人だけど」
父親のこともよく知る朱羽子さんは、そんな父親の様子が目に浮かぶのか、フフと笑いながら、冷蔵庫の扉を開けた。
生花を保存するための冷蔵庫、ひんやりとした空気を足元に感じる。
中に入って行く朱羽子さんの背中を見ていると、彼女は片手にブーケを持って出て来た。
スタンドの上に乗ったブーケは、柔らかい真っ白な紙とセロファンで、花の部分が覆われていた。
「ちょっとだけチェックさせてね」
朱羽子さんはセロファンの間から紙をゆっくりと剥がし、中身をチェックした。
「うん、大丈夫そう」と頷く。
「造花みたいな花だな、何ていう花?」
「アンスリウムよ。前にRomiがハートみたいでかわいい花ねって言ってたから」