Colors of Heart ~7色のハート~


「じゃあ、私と君とはちょっと違うわね。ねぇ、ところで君、日本にはどれ位の人が住んでるんだと思う?」

 
「2010年の調べだと1億2千8百5万7352人だよ」

 
驚くほど細かい数字が少年の口からつらつらと出て来たので驚いた。

 
「君って賢いのね」感心しつつも、話を続ける。

 
「日本だけで、約1億2千万人の人がいるわ。日本なんて世界地図でみたら、小さな島国の1つだから、世界中にいる人を考えたら、ホント、考えられない位の人の数よ」

 
「何が言いたいの?」

 
「私が言いたいのはつまり、その人たちがみんな同じ考えを持っていると思う?ってこと」

 
ううんと少年は首を横に振るう。

 
「でしょう?世の中にはたくさんの人がいて、それぞれ感じることや思想が違うの。それが人間のいい所でもあり難しい所でもあるんだけどね」

 
だからと私は少年の顔を覗き込んで続けた。


「ちょっと話を膨らませすぎちゃったけど、君が思うことを君自身が否定するのはおかしいってことよ。男の娘になりたいって思う君の思いは君の個性なんだって」

 
「個性?」

 
「自分を表わす性格みたいなものよ。私もね、子供の頃は自分は人と違うってこと隠してたの。学校に通ってるとみんな一緒じゃなきゃいけないような気がして」

 
「ボクもそう思う」と少年は賛同する。


「でも、みんな1人1人が違う人間じゃない?考え方が違うのはあたり前のことなのよ。だから、君の中の男の娘になりたいって気持ちは君の個性なのよ。ある人のうけうりだけどね」

 
ふぅんと少年は頷いた。


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