Colors of Heart ~7色のハート~
「結構、決めかねてたくせに、ここ見た瞬間は即決だったな」
駅から徒歩5分、商店街の中を一本入った所にある3階建てのマンション。
築5年と物件自体も新しく、1階では大家さん夫婦が小さなカフェを営んでいる。
最上階の1フロアが大家さん夫婦の住まいで、賃貸物件は1階と2階を含め全部で3部屋。
私たちが引っ越して来て、全部の部屋が埋まったらしい。
2DKの間取りに、日当たりのいい南向き、新しい物件なのでキッチンもお風呂もトイレも新品のようにキレイだ。
エレベーターがないのが難点だけれど、2階だし、オートロックだし、家賃もそこそこ良心的なのでそこは目を瞑ろう。
ようやく、家具や家電が揃い、生活する準備が整った。
リビングソファで一息ついていると、大輔がアイスカフェオレを差し出してくれた。
ありがとうと藤色のグラスを受け取る。
虎ちゃんのシェアハウスを出る時に義男がくれたものだった。
自分の分のグラスをテーブルに置くと、大輔もソファに腰を沈める。
「あ~、つかれた~」
と言いながら首や腕をぐるぐると回している。
「お腹空いた」
「これ飲んだら、商店街を散策がてら夕飯にするか」
「そうしよう」と大輔の意見に賛成した。