Colors of Heart ~7色のハート~
「奈々、あのさ、一緒に住まない?」
突然、何の前触れもなく大輔が口にした。
一緒に映画を見に行って、見たかった映画だったのにまれにみる駄作で、文句を言いながら映画館の近くの店でパスタを食べていた時だった。
その日は会った時から、少し様子がオカシイとは思っていたけれど、まさかそんな大胆な告白をしてくるとは思わなかった。
彼氏である鳩羽大輔(はとばだいすけ)は元同僚だった。
同僚と言っても、短大卒の私は代わりがいくらでもいる受付嬢で、2つ年上の大輔は有名大学出の営業部のホープ、きっとピラミット型の表を作ったら、大輔は一番上の三角の部分にいる人で、私は底辺だろう。
私はワケあって、働いていた会社をゴールデンウィーク前に辞めた。
私が退社するまでの経緯はまだ傷が癒えてないのもあるので、ここでは語らないけれど、大輔は入社当時から仲の良い同僚の1人だった。
元ラグビー部だという大輔は身長も190cmくらいある義男と張るくらい大きく、がっちりとしたラガーマンの体型をしていた。
今でも大学時代の友達と趣味でラグビーをするのだそうだ。
顔はお世辞にもイケメンとは言えないけれど、付き合うようになって、笑うと子供のように幼くなるところとか、歯並びがすごくキレイなところとか私の中で胸キュンポイントが増えていった。
大輔は会社を辞めた後にちょっぴり鬱気味になった私を励ましてくれた人の1人だ。
最初は友達として気にかけてくれるのかなって思ってた。
がさつに見えて結構周りを見ている大輔は飲み会にも重宝されてるし、誰とも気さくに話すので会社でも先輩、後輩に関わらず人気があった。
そのうちメールが頻繁に届くようになって、メールだけじゃ物足らずに電話で話すようになった。
うすうす気付いてはいたけれど、次は食事に誘われるようになって、ある日、「好きだ」と告白された。