Colors of Heart ~7色のハート~
「そんな爪して、米が研げるか。いいよ、奈々は掃除と洗濯の当番で。俺、大学時代から自炊してたし、サンゴさんには適わないだろうけどそれなりに作れるし」
初日にこれからの生活における家事の分担が発表された。
料理を作らなくて済むのは正直ありがたかった。
でも、いずれは、きちんとできるように花嫁修業として、料理教室に通う計画も立ててはいるけど。
「そういえば、大輔って弁当男子だったもんね」
「お前こそ、サンゴさんの作った弁当をいかにも自分が作りましたって顔で食べてたらしいじゃん。営業部で噂になってた、藤代奈々は料理も上手いらしいって、とんだ嘘つきだな」
「私、料理得意なんて言ったことないし!勝手に噂してただけでしょ?」
ムっとしてそっぽを向くと、お肉のパックを吟味しながら、カゴの中に入れた大輔がふっと笑う。
「奈々、お菓子は1個までにしなさい」ポテトチップスの袋を元の棚に返すように言われた。
まるで、お母さんに駄々をこねる子供みたいじゃないか。
付き合って2ヶ月、いつの間にかお姫様扱いだった当初の立場が逆転している気がする。
それに・・・
大問題があった。
リビングのソファに座り、チューハイを飲みながらテレビを見ていた。
大輔はスーパーから帰って来るなり、キッチンに立って、朝ごはんの下ごしらえをさっと済ませた。
お風呂上りにチューハイを開けた私に、クラッカーの上にモッツァレラチーズとミニトマトとバジルを乗せた即席のおつまみまで作ってくれた。